お酢の健康法

ご家庭に常備されている定番の調味料のひとつ「酢」。 近年では、多くの健康効果があることが明らかになり、果汁やはちみつなどを加えたいわゆる「飲むお酢」などが人気を集めていて、普段の食生活に取り入れている人も多いでしょう。
この記事では、酢の効果の魅力と知っておきたい注意点、種類ごとの特徴や効果について詳しく解説します。

お酢は、穀物や果実、野菜などの糖質を含む食品をアルコール発酵させ、そこに酢酸菌を入れてさらに発酵(酢酸発酵)させることで作られます。原材料や作り方を変えることでさまざまな種類のお酢を作ることができます。
たとえば、米を発酵させると米酢や米黒酢に、りんごの搾り汁を発酵させるとりんご酢になります。そのほかにもいろいろな種類のお酢があります。

農林水産省では次のように、食酢を醸造酢と合成酢の大きく2つに分類しています。

醸造
穀類、果物、野菜、そのほかの農産物、あるいははちみつを原料としたもろみなどを酢酸発酵させた液体調味料で、氷酢酸(ひょうさくさん:純度98%以上の酢酸)または酢酸を使っていないものを指します。醸造酢はさらに穀物酢と果実酢とに分けられます。
穀物酢は、醸造酢の中で原材料として1種類または2種類以上の穀類を使用したもので、その使用総量が醸造酢1リットルあたり40グラム以上のものを指します。具体的には、米酢(米の使用量が穀物酢1リットルあたり40グラム以上)、米黒酢(米またはこれに小麦か大麦を加えたものだけを使用)、大麦黒酢(大麦のみを使用したもの)があります。ちなみに、一般的な黒酢は米黒酢に含まれます。
果実酢は、醸造酢の中で原材料として1種類または2種類以上の果実を使用したもので、その使用総量が醸造酢1リットルあたり果実の搾汁として300グラム以上のものを指します。りんご酢やぶどう酢があります。ワインビネガーやバルサミコ酢はぶどう酢のひとつです。

合成酢
氷酢酸または酢酸の希釈液に、砂糖類や酸味料、調味料(アミノ酸など)、食塩などをくわえた液体調味料、もしくはそれに醸造酢をくわえたものを指します。
ちなみに、「すし酢」や「三杯酢」などは食酢にほかの調味料を加えたもので、醸造酒や合成酢とは区別されています。


お酢の健康効果

疲労回復を助ける
酢酸は体内でクエン酸に変化します。クエン酸には疲労物質として知られる乳酸を分解する働きがあり、疲労回復を促します。

・消化を助ける
酢酸には胃液や唾液の分泌を促して消化酵素を活性化させる働きがあります。

生活習慣病の予防に役立つ
これまでの研究で、酢酸には内臓脂肪を減らす、高血圧を予防する、食後の血糖値の上昇を抑えるといった働きがあり、さまざまな生活習慣病の予防や改善に役立つことがわかっています。さらに、酸味は塩味を引き立たせる効果があるため、料理にお酢を使うと無理なく減塩することもできます。減塩は高血圧の予防に欠かせません。

・カルシウムの吸収をよくする
骨の健康維持はもちろん、神経や筋肉の働きにも関わっているカルシウムですが、体内で吸収されにくいという難点があります。
クエン酸にはキレート作用といって、カルシウムを包み込んで体内に吸収されやすい状態に変える働きがあります。お伝えしたように、酢酸は体内でクエン酸に変化するので、お酢を摂ると、カルシウムの吸収をよくすることができます。


お酢の美容効果

・内臓脂肪を減らす
酢酸には脂肪の合成を抑える、エネルギー消費を高めるなどの働きが期待できます。ある研究では、肥満気味の人が食酢を継続的に飲むことによって、内臓脂肪が減ることが実証されました。肥満気味でかつ内臓脂肪が高めの人は、ダイエット法のひとつとしてお酢を取り入れるのもおすすめです。

・便秘を解消する
お酢には腸内の蠕動運動(ぜんどううんどう)を促す働きがあり、便秘の予防や改善に役立ちます。その結果腸内環境がよくなると、肌荒れが起きにくくなります。

・髪の毛や爪を健康に保つ
お酢は胃酸の分泌を促して、鉄を吸収しやすくします。女性は鉄分不足になりやすいのですが、その状態を放っておくと鉄欠乏性貧血になって酸素が全身に回りにくくなることがあります。すると、顔色が悪くなる、髪の毛や爪などのツヤがなくなるなど、美容面にも悪い影響が出てしまいます。バランスのよい食事にお酢をプラスすると貧血予防になり、髪の毛や爪を健康に保つのにも役立ちます。


美容や健康のためにも、今回ご紹介した情報も参考にお料理やドリンクに取り入れてみてはいかがでしょうか。